【正解】A
【0からの解説】
①前提知識:この問題は、4 つの選択肢がそれぞれ「データを残す」ための別々の仕組みを指しています。どれも一見データを守れそうに見えるため、
「何のための仕組みか」「現役ユーザーの業務を止めないか」「指定された 3 種類のデータ(メール・ドキュメント・チャット)を漏れなく押さえられるか」で見分けるのがポイントです。
・Google Vault の
記録保持(ホールド):訴訟・調査ごとに作る「案件(matter)」の中で、対象のアカウントや組織部門と、Gmail・ドライブ・Chat などのサービスを選んで設定します。設定中は、ユーザーがメールを削除したりファイルをゴミ箱から完全に削除したりしても、Vault 側にはデータが残り、検索・エクスポートできます。期限を持たず、法務部門が解除するまで効き続けます。
・Google Vault の
保持ルール:サービスごとに「何日間残すか、期間後に消すか」を組織や組織部門に対して決める、定常的な運用ルールです。
・
アーカイブ ユーザー(AU)ライセンス:退職者などのアカウントを、データを残したまま低コストで「保管状態」にするためのライセンスです。
②要件の整理:(1) 法務部門が発行した
訴訟ホールドへの対応であること、(2) 対象は「特定のプロジェクト」の関係者のデータであること、(3)
メール・ドキュメント・チャットの 3 種類すべてが対象であること、(4)
無期限に保全し、ユーザーが削除しても失われないこと、の 4 点です。プロジェクトの関係者は現在も業務を続けている前提で考えます。
③正解の理由:Vault で案件を作り、プロジェクト関係者のアカウントを対象に Gmail(メール)・ドライブ(ドキュメント)・Chat(チャット)の記録保持をそれぞれ設定すれば、(1)〜(4) をすべて満たします。関係者はこれまでどおり Gmail やドライブを使い続けられ、業務への影響はありません。法務部門が「訴訟ホールド」と呼んでいるものを Workspace 上で実現する機能が、まさに Vault の記録保持です。
【誤りの選択肢】
B:アーカイブ ユーザー ライセンスを割り当てると、そのアカウントは「保管状態」になり、本人は Gmail やドライブなどのサービスにログインして使えなくなります。データは残りますが、この仕組みは退職者・休職者のアカウントを安く保管するためのもので、プロジェクトで
今も働いている従業員に割り当てると業務が止まってしまいます。また、アーカイブしても Vault の保持ルールや記録保持が別途必要な点は変わらず、管理者がアカウントを削除すればデータも消えるため、訴訟ホールドの代わりにはなりません(AU ライセンスは対応エディションで別途購入が必要な有償ライセンスでもあります)。
C:保持ルールで無期限保持を設定すると、確かにユーザーが削除したデータも Vault 側には残ります。しかしこの選択肢は対象が「Gmail とドライブ」だけで、要件の
チャットが抜けています。さらに保持ルールは組織や組織部門単位の定常ルールなので、訴訟と無関係な全社員のデータまで無期限に溜め込むことになり、データ量の増加や「不要なデータは消す」という本来のガバナンス方針と衝突します。また、運用方針の見直しでルールが変更・削除されれば保全も外れてしまいます。特定の訴訟のための保全には、案件にひも付く記録保持を使うのが適切です。
D:データをエクスポートして別の場所に保存しても、エクスポート時点のコピーにすぎず、その後に作成・変更されたデータは保全されません。元のデータもユーザーが削除できるままで、保管場所のセキュリティ管理も別途必要になるため、要件を満たしません。
【参考】
Google Vault の記録保持(リティゲーション ホールド)スタートガイド保持ルールと記録保持(リティゲーション ホールド)を管理する | Google Vaultユーザーをアーカイブまたはアーカイブ解除する | User management