【正解】B
【0からの解説】
①前提知識:Google Cloud には「誰がデータにアクセスしたか」を記録する仕組みが 2 系統あり、記録の対象となる「人」がまったく違います。
・Cloud Audit Logs(監査ログ):お客様自身の組織のユーザーやサービス アカウントが Google Cloud の API を呼び出した記録です。このうちデータアクセス監査ログ(Data Access audit logs)は、Cloud Storage のオブジェクトの読み取りなど「データの読み書き」を記録します(BigQuery 以外はデフォルトで無効のため、明示的な有効化が必要です)。
・アクセスの透明性(Access Transparency):クラウド ベンダーである Google の担当者(サポート エンジニアや運用担当者)が、お客様のコンテンツにアクセスしたり管理操作を行ったりしたときに、その理由(サポートケース番号など)・アクセスした担当者の所属や場所・対象リソースなどをほぼリアルタイムでログに残す機能です。通常の監査ログには Google 側の担当者の操作は記録されないため、この機能が別に用意されています。Access Approval と組み合わせると、Google によるアクセスを事前承認制にすることもできます。
②要件の整理:問題文が記録を求めているのは「ベンダー(=クラウド事業者である Google)によるデータアクセス」と「Google の担当者による管理アクセス」です。自社のユーザーによるアクセスではありません。したがってアクセスの透明性を使う必要があります。また、コンプライアンス上「すべて」を記録する必要があるため、対象範囲に漏れが出ない設定単位を選ぶことも重要です。
③正解の理由:アクセスの透明性は組織(Organization)単位のセキュリティ制御で、組織内のすべてのプロジェクトのサポート対象サービス(Cloud Storage を含む)に適用されます。組織に対して有効にすることで、バケットがどのプロジェクトにあっても、また今後プロジェクトやバケットが増えても、Google 担当者のアクセスが漏れなく記録されます。なお、現在の公式ドキュメントでは「アクセスの透明性はすべての Google Cloud 組織に対するデフォルトのセキュリティ制御」と説明されており、IAM の[設定]ページで組織に対して有効になっていることを確認する運用になっています。いずれにしても「組織単位で有効にする」が正しい考え方です。
【誤りの選択肢】
A:データアクセス監査ログが記録するのは、お客様の組織のプリンシパル(ユーザーやサービス アカウント)による API 呼び出しです。Google の担当者によるアクセスや管理操作は記録されないため、要件の中心である「ベンダー(Google)によるアクセスの記録」を満たしません。
C:組織レベルでデータアクセス監査ログを構成すると、記録の範囲は組織全体に広がりますが、記録対象は自組織のプリンシパルの操作のままです。Google 担当者のアクセスは記録されないため、A と同じ理由で要件を満たしません。
D:アクセスの透明性は組織全体を対象とするセキュリティ制御として提供されており、特定のプロジェクトだけを対象にする考え方ではありません。仮にバケットのあるプロジェクトだけを対象にしても、他のプロジェクトや今後作成されるプロジェクトの機密データが対象外となり、「すべてを記録する」というコンプライアンス要件に対して網羅性で B に劣ります。
【参考】
アクセスの透明性の概要 | Access Transparencyアクセスの透明性の概要 | Assured WorkloadsCloud Storage での Cloud Audit Logs