【正解】A
【0からの解説】
①前提知識
・Dedicated Interconnect は、オンプレミスのルーターと Google のピアリング エッジを物理回線で直結するサービスです。回線そのものは閉域ですが、既定ではトラフィックは暗号化されていません。
・Cloud Interconnect の暗号化の方法は主に 2 つあります。
(1) MACsec for Cloud Interconnect:レイヤ 2 の暗号化。暗号化される区間は「オンプレミスのルーター ⇔ Google のピアリング エッジ ルーター」の 1 ホップだけです。公式ドキュメントにも、MACsec は Google 内部での転送中の暗号化は提供しないため、エンドツーエンドが必要なら IPsec や TLS を重ねるよう書かれています。
(2) HA VPN over Cloud Interconnect(Cloud Interconnect を介した HA VPN):VLAN アタッチメントの上に HA VPN の IPsec トンネルを張る方式。暗号化区間は「オンプレミスの VPN ゲートウェイ ⇔ VPC の HA VPN ゲートウェイ」で、オンプレミスと VPC の間をエンドツーエンドで暗号化できます。
・HA VPN トンネル 1 本の帯域は最大 3 Gbps(さらに 1 トンネルあたり 250,000 pps の上限)です。そのため大きな帯域を暗号化するには複数のトンネル(=複数の HA VPN ゲートウェイ/インターフェース)を並べる必要があります。
・公式の構成ガイドでは、VLAN アタッチメント容量ごとの必要トンネル数の目安として「10 Gbps → VLAN アタッチメントあたり 4 トンネル、冗長用の 2 アタッチメントで合計 8 トンネル」と示されています。HA VPN ゲートウェイのインターフェース 0 を 1 本目のアタッチメント(エッジ可用性ドメイン 1)、インターフェース 1 を 2 本目のアタッチメント(エッジ可用性ドメイン 2)に対応付けるので、4 つの HA VPN ゲートウェイを使えば、各 Interconnect 上に 4 本ずつ、合計 8 本のトンネルができます。
②要件と制約語の整理
・帯域 10 Gbps が必要
・「オンプレミス ネットワークと VPC の間」を「エンドツーエンドで」暗号化
・冗長性(片方の Interconnect が落ちても 10 Gbps を維持したい)
③正解の理由(検算)
・10 Gbps ÷ 3 Gbps/トンネル ≒ 3.4 → 1 本の Interconnect あたり 4 トンネル(4 × 3 = 12 Gbps ≥ 10 Gbps)が必要。
・片方の Interconnect が障害になっても残り 1 本の上の 4 トンネルで 10 Gbps を運べるよう、両方の Interconnect にそれぞれ 4 トンネル(合計 8 トンネル)を用意する。これが公式表の「10 Gbps:4 / 8」に一致します。
・よって「各 Interconnect 上に 4 つの HA VPN ゲートウェイ(のトンネル)」を配置する A が、エンドツーエンド暗号化・10 Gbps・冗長性をすべて満たします。
【単位の違いに注意】公式表の「4 / 8」は HA VPN「トンネル」の本数(VLAN アタッチメント 1 つあたり 4 本、冗長用の 2 アタッチメント合計で 8 本)であり、HA VPN「ゲートウェイ」の数ではありません。一方、選択肢はゲートウェイの数で書かれています。両者は次の関係で結び付きます。
・HA VPN ゲートウェイ 1 つはインターフェースを 2 つ持ち、インターフェース 0 を 1 本目のアタッチメント、インターフェース 1 を 2 本目のアタッチメントに対応付けて、インターフェースごとにトンネルを 1 本作ります。つまりゲートウェイ 1 つで「各アタッチメントに 1 本ずつ」トンネルが増えます。
・したがって「アタッチメントあたりのトンネル数 = HA VPN ゲートウェイの数」になります。実際に Google Cloud コンソールのウィザードも、VLAN アタッチメントの容量に応じてこの数の HA VPN ゲートウェイを自動作成します(例:5 Gbps のアタッチメントならゲートウェイ 2 つ)。
・10 Gbps では、アタッチメントあたり 4 トンネルが必要なので、HA VPN ゲートウェイは 4 つです。選択肢 A の「各 Dedicated Interconnect 接続に 4 つの HA VPN ゲートウェイ」は、「4 つのゲートウェイが各 Interconnect 上(のアタッチメント)にそれぞれ 1 本ずつトンネルを持ち、各 Interconnect 上に 4 トンネルずつ、合計 8 トンネルになる」構成を表したものと読み取ってください(Interconnect ごとに別々のゲートウェイを 4 つずつ、計 8 つ作るという意味ではありません)。
・逆に、表の「8」をゲートウェイの総数、または「4」を 2 本の Interconnect で分け合うゲートウェイの総数と読み違えると「各接続に 2 つ」の B が正しく見えてしまいます。しかしゲートウェイ 2 つでは各アタッチメントのトンネルが 2 本(表の 5 Gbps の行に相当)にしかならず、10 Gbps には足りません。
【誤りの選択肢】
B:HA VPN ゲートウェイが 2 つだと、上記のとおり各 Interconnect 上のトンネルは 2 本(2 × 3 Gbps = 6 Gbps)にとどまり、10 Gbps の帯域要件を満たせません。公式表のトンネル数(4 / 8)をゲートウェイ数と取り違えると選びやすい誤答です。両方の Interconnect が正常なときでも合計 12 Gbps ですが、冗長性(片側障害時に 10 Gbps を維持)を満たせないうえ、公式の推奨トンネル数(10 Gbps ではアタッチメントあたり 4 本)にも届きません。
C:MACsec は回線速度で暗号化でき性能面では魅力的ですが、暗号化されるのはオンプレミスのルーターと Google のピアリング エッジ ルーターの間だけで、Google 内部から VPC までは暗号化されません。「オンプレミスと VPC の間のエンドツーエンド暗号化」という要件を満たしません。
D:Interconnect を 1 本しかトラフィックに使わないため、そのトラフィックは暗号化されず要件を満たしません。またインターネット経由の HA VPN は帯域が小さく、すでに用意した 2 本目の Interconnect も無駄になります。
【参考】
Cloud Interconnect を介した HA VPN の概要Cloud VPN の概要