【正解】A
【0からの解説】
①前提知識:代表的なプロンプト エンジニアリングの手法は次のとおりです。
・ゼロショット プロンプト:例を示さず指示だけで回答させる
・ワンショット / フューショット プロンプト:1 つ / 複数の入出力例を示し、期待する形式やパターンを学ばせる
・ロール プロンプト(role prompting):「あなたは〇〇の専門家です」のように AI に役割(ペルソナ)を与え、その役割にふさわしい視点・知識・口調・振る舞いで回答させる。Vertex AI(現 Gemini Enterprise Agent Platform)ではシステム指示(system instructions)にロールやトーン、守るべきルールを書いておくことで、すべての応答に一貫して適用できる
・プロンプト チェーン:複雑なタスクを複数のプロンプトに分割し、前の出力を次の入力に渡して段階的に処理する
②問題文の整理:要件は (1) メール返信の品質と一貫性の向上、(2) 親切で共感的なトーンの採用、(3) 会社のポリシーの順守、の 3 つです。いずれも「どのような立場・態度・ルールで書くか」という振る舞いの指定です。
③正解の理由:ロール プロンプトで「社内の知識(会社のポリシー)を持つ経験豊富なカスタマー サービス担当者」という役割を与えると、AI はその役割に沿った共感的で丁寧なトーンを採用し、会社のポリシーに沿った対応を一貫して行うよう方向付けられます。トーンと行動規範の両方をまとめて導けるため、A が最も適切です。
【誤りの選択肢】
B:フューショット プロンプトは出力の形式やパターンを示すのに有効で、良い例と悪い例を見せればトーンもある程度誘導できるため、この問題では次点の選択肢です。ただし目的は「例の模倣」であり、例に出てこない種類の問い合わせでも会社のポリシーを一貫して守らせる手段としては弱く、トーンとポリシー順守という振る舞い全体を導く手法としてはロール プロンプトに劣ります。また、例に引きずられて内容が似通う、悪い例の要素が混入するといったリスクもあります。多数の例を毎回用意・保守する手間もかかります。
C:プロンプト チェーンは、情報収集 → 下書き → 推敲のように複雑なタスクを段階的に処理するための手法です。必要な情報を集める点では役立ちますが、問題の要件である「共感的なトーン」や「ポリシー順守」を導く仕組みそのものではありません。
D:ワンショット プロンプトは例が 1 つだけのため、多様な問い合わせに対してトーンやポリシー順守を一般化させるには情報が不足します。単一の例に過度に合わせた出力になりやすく、品質と一貫性の向上という要件を満たすには不十分です。
【参考】
システム指示を使用するプロンプト戦略の概要AI のプロンプト エンジニアリング ガイド