【正解】D
【0からの解説】
①前提知識
・教師ありファインチューニング(SFT)は、「入力(プロンプト)と望ましい出力(回答)」のペアを例として与え、基盤モデルの振る舞いを特定のスタイル・形式・トーンに合わせて調整する手法です。Agent Platform(旧 Vertex AI)では Gemini モデルを JSONL 形式のデータセットでマネージドにチューニングでき、チューニング済みモデルはエンドポイントとしてそのまま利用できます。
・Google のドキュメントでは、SFT は「回答の長さや形式・スタイルなど、プロンプトだけでは一貫して制御しにくい出力の特徴」を学習させるのに適しているとされています。
②要件と制約語の整理
・回答は事実として正しい → 知識の追加ではなく「出力のスタイル(詳しさ)」の調整が課題。
・質問の種類によって望ましい詳しさが異なる → ルールで列挙しきれない微妙なパターンをモデルに学習させたい。
・数千行のフィードバックが既にある → 学習データの土台がある。
・「スケーラブル」「アプリケーションのメンテナンスを最小限に」→ アプリ側にルールや長いプロンプトを抱え込まない方法が望ましい。
③正解がどう満たすか
質問と適切な詳しさの回答のペアを集めて SFT を行えば、「どの種類の質問にどの程度の詳しさで答えるか」というパターン自体をモデルが学習します。アプリケーション側のロジックやプロンプトにシナリオを書き足し続ける必要がなく、新しい種類の質問にもある程度汎化するため、スケーラブルでメンテナンスも最小です。チューニング後に詳しさを再評価して効果を確認する点も、適切な開発サイクルです。
【誤りの選択肢】
A:回答は既に正確であり、問題はモデルの能力ではなく出力スタイルです。別モデルに切り替えても「質問の種類ごとの詳しさ」というユーザー固有の期待を学習するわけではなく、モデルごとの A/B テストは手間がかかるうえ、改善が保証されません。
B:プロンプトに全シナリオを列挙する方法は、シナリオが増えるたびにプロンプトを更新し続ける必要があり、プロンプトが肥大化してトークン コストやレイテンシも増えます。ユーザーに「すべてのシナリオ」を挙げてもらうこと自体も現実的ではなく、スケーラブルでもメンテナンス最小でもありません。
C:キーワードベースのルーティングは脆く、「detailed」「fact」などの単語を含まない多様な質問には対応できません。さらに要約のための再プロンプトで呼び出し回数とレイテンシ・コストが増え、ルールの追加・保守も継続的に必要になります。
【参考】
Gemini モデルの教師ありファインチューニングについてGemini モデルの教師ありファインチューニング データを準備するチューニングの概要