【正解】A、D
【0からの解説】
①前提知識
・顧客への影響は「影響を受けた時間 × 影響の範囲」で決まります。SRE では、インシデントの検知までの時間(MTTD)と復旧までの時間(MTTR)を短くすることが、顧客への影響を最小化する鍵だと考えます。
・プレイブック(ランブック)は、アラートが発生したときにオンコール担当者が何を確認し、どう軽減するかをまとめた手順書です。Google の SRE 本では、プレイブックを用意して対応するとその場で考えながら対応するより MTTR がおよそ 3 倍改善すると述べられています。
・トイル(手作業で繰り返し発生し、自動化可能な運用作業)の削減と自動化も SRE の中心的な考え方です。影響範囲の分析や軽減策の候補提示を自動化すれば、オンコール担当者は判断と実行に集中でき、復旧が速くなります。
・アラートについて SRE 本は「症状(ユーザーが体験する問題:エラー率やレイテンシなど)」に基づいてアラートを出し、「原因(内部の動作)」に基づくアラートは避けるべきだとしています。内部の指標はダッシュボードやデバッグ用(ホワイトボックス モニタリング)に使います。
②要件と制約語の整理
・目的は「将来のインシデントによる顧客への影響を最小限にする」こと。
・移行中に導入する「SRE のプラクティス」を 2 つ選ぶ。
③正解の根拠
A:最新のプレイブックがあれば、オンコール担当者は手順に沿ってすばやく調査・軽減でき、MTTR が短縮されて顧客への影響が小さくなります。
D:重要な影響情報の分析と軽減策の提案を自動化すれば、インシデント対応時の手作業(トイル)が減り、判断が速く正確になります。これも MTTR の短縮に直結し、Google Cloud の Well-Architected Framework のオペレーショナル エクセレンスの柱(インシデントと問題の管理)にも合致します。
【誤りの選択肢】
B:すべてのチームが本番環境を変更できるようにすると、変更の統制が効かなくなり、権限の過剰付与(最小権限の原則に反する)や、調整されていない変更による障害の拡大を招きます。インシデントの多くは変更が原因で起きるため、顧客への影響はむしろ大きくなりがちです。
C:システムの内部の動作(原因)に基づくアラートは、ユーザーに影響のない事象でも通知が飛び、アラート疲れを招きます。SRE ではユーザーが体験する症状(SLI / SLO に基づくエラー率やレイテンシなど)でアラートを出すことが推奨されており、内部動作はデバッグ用の指標として使うのが適切です。
E:オンコール チームだけに「完全な自律性と権限」を与えるのは、最小権限の原則や変更管理の考え方に合わず、SRE のプラクティスとして推奨されるものではありません。インシデント対応では、インシデント コマンダーを中心とした役割分担と、必要な権限を必要なときに付与する仕組みが重要であり、特定チームに無制限の権限を集中させても顧客影響の最小化には直結しません。
【参考】
インシデントと問題を管理するオブザーバビリティを使用して潜在的な障害を検出する